中高年がよく「心は若いときのままでいたい!」と言いますが、実は努力などしなくても、心は年を取らないのではないか…と私は思っています。
でも、それが誰かに分かってしまうと「自分の年齢も考えずに」とか言われそうで気恥ずかしいから、年寄りの「ふり」をしているのではないかしら。
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「老人」と言われたら…
高齢のマダムやジェントルマンがプリプリと不機嫌な様子で薬局に入ってこられるとき。
それは診察時の、医師の全く悪気のない一言が原因となっていることがあります。
体がかゆいと訴える患者さんに、医師が一言。
「老人の乾燥ですね」
「老人」というワードが、70代、80代の「女心」「男心」をいたく傷つけるようなのです。
高齢になると皮膚が乾燥しやすくなるのは当然のことですし、乾燥すると痒みがでて掻きむしってしまうことになるので、保湿剤を塗る必要性についてご説明します。
男性の中には「女みたいに乳液やクリームなんか塗れるか!」と言われる方も。
お薬ですから、というと、納得して使っていただけます。
高齢者の意識とは
若い方や中年の方の中には、70歳を超えた人が「老人」と言われて怒ることに戸惑う向きが少なくないのではないでしょうか。
しかし、自分や周りの人のことを考えてみると、心は体のような老化をしないことに気付きます。
確かに、記憶力などの「認知機能」はある時から衰えてきますし、肉体的には体力低下や様々な病気が起こります。
それでも、心は、若いときとそれほど変わっていないのです。
かく言う私も、50代ってもっと「人間が出来ている」大人だと思っていました。
確かに人生経験は嫌でも増えますし、若い頃に比べて怒りの沸点はかなり高くなったと思います。
でもそれは、単純に体力が落ちていて怒ると疲れるから。
それに、怒ると自分の体や精神にとってダメージがあると気づいたからです。
生きている時代が違うので若者言葉にはついていけませんが、多くの50代が気持ちは20代の頃からあまり変わっていないように思います。
多分これは、80、90になっても変わらないのではないでしょうか。
私の母は80代ですが、年齢についてどう思っているか尋ねてみると、自分が80代だということを、よくうっかり忘れている、といいます。
更年期から現在に至るまで、母がいろいろな老化の悩みを抱えてきたことを知っている私としては驚きを感じるのですが、そういえば90代で亡くなった祖母も、同じようなことを言っていたなあと思い出しました。
心は多分、ずっと変わらない
「高齢者」と対するとき、私はその方の外見が80代でも、40~50代の方のときの姿を思い浮かべながらお話しするといいのかなと思っています。
もちろん、「大先輩」に対するいたわりと尊敬は忘れてはなりません。
体や、認知機能の老化についても、配慮が必要です。
でも「心」は、幼稚園児から90歳の老人に至るまで恐らく基本的に変わることはなく、
「〇〇ちゃん」と呼ばれていた頃のその人が、いつもそこにいるのだろうと思います。