こんにちは。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、一昔前に比べるとだいぶ市民権を得たように思います。
以前だと、ジェネリック(後発品)といえば「なんだか得体のしれない怪しい薬」とか「不良品なんじゃないか」と敬遠する患者さんが少なくなかったのですが、最近は「どっちでも(在庫がある方で)いい」とか「できるだけジェネリックにしてほしい」という方が多い印象です。
今回は、ジェネリック医薬品についての前編として、「ジェネリックについて知っているといいこと」をお話しています。ジェネリックについて基本的なことは分かっている、という方は、今回の記事は飛ばしていただいて、また次回、お会いいたしましょう(^_-)-☆
次回の後編では、ジェネリックに変更しないほうがいいケースについてお話する予定です。
目次(タップで飛べます)
ジェネリック医薬品とは
ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に製造販売される、新薬と同一の有効成分を同一量含み、同一の効能・効果(※)を持つ医薬品のことです。
(※)新薬が効能追加を行っている場合など、異なる場合があります。
(厚生労働省のリーフレットより)
ジェネリック医薬品は、その効き目と安全性が先発医薬品と同じであることを、厚生労働大臣が承認したものです。
先発品にくらべて副作用が多いのではないかとか、薬の質が悪いのではないかと言われる方もありますが、その心配は基本的には無用です。
そして、ジェネリックは新薬にくらべて研究開発費が圧倒的に少なくてすむため、安価であるというのが一番のメリットです。
なお、新薬が発売されてから、その特許がきれるまでには10年~15年ほどの期間がありますので、その間はその薬のジェネリックは存在しません。
ジェネリック医薬品の使用を推進する理由
少子高齢化や医療技術の進歩により医療費が増え続け、保険財政が厳しくなっています。このような状況で国民皆保険制度を維持するために、ジェネリックの使用を促進することで医療の質を落とさず薬剤費を抑えることが目的です。また、患者さんにとっても自己負担を減らすことができるというメリットがあります。
そして薬局にとっては、国の方針に従ってジェネリックをある一定割合以上使用すると、その割合に応じて点数が加算されるという、ご褒美のような制度があります。これは「後発医薬品調剤体制加算」というものです。
これがついているかどうかは、領収証で確認してみてください。
後発品が75%以上の場合:後発医薬品調剤体制加算1 150円※
後発品が80%以上の場合:後発医薬品調剤体制加算2 220円※
後発品が85%以上の場合:後発医薬品調剤体制加算3 280円※
※患者さんの負担は、この値段×自己負担の割合になります。多くは30%です
これは薬局にとっては利益となるものであり、患者さんにとってはその薬局のジェネリックの在庫が充実しているということになります。
この加算をとっているかどうかが気になる方は、直接薬局に電話で聞いてみると教えてくれます。
私も、患者さんから「できるだけ料金の安い薬局に行きたいのだが、この加算はとっているか」と電話で問い合わせをうけたことがあります。
ジェネリックを希望する場合であれば、ジェネリックに変更すると加算以上にお薬代が安くなることがほとんどですから、トータルで考慮されるといいと思います。
ジェネリックしかない薬もあります
色々な理由で、先発品がなく、ジェネリックしか存在しない薬もあります。
たとえば、多分みなさまが風邪の時にもらったことがある解熱鎮痛薬「カロナール」、血液サラサラの薬「バイアスピリン」、便通を改善する「酸化マグネシウム」、ビタミンB12製剤の「メチコバール」などです。
先発品を希望したのに、薬の説明に後発品とかいてあって、「どうして?」と思われることがあると思いますが、そんなときはもやもやを抱えず、遠慮なく薬剤師に聞いてくださいね。
メーカーによる違い
ジェネリックメーカーはたくさんあります。
だから、同じ成分の薬を、色々なメーカーが販売しています。
たとえば、アダラートCR錠20mgという、高血圧や狭心症に使われる薬を例にとると、そのジェネリックは
ニフェジピンCR錠20mg「サワイ」
ニフェジピンCR錠20mg「ZE」
ニフェジピンCR錠20mg「トーワ」
ニフェジピンCR錠20mg「日医工」
ニフェジピンCR錠20mg「NP」
ニフェジピンCR錠20mg「三和」
と、6社から販売されています。

どのメーカーを採用するかは薬局の裁量になります。
なので、例えば患者さんが、A薬局で薬をもらい、その次の月に同じ内容の処方せんをB薬局に出したとすると、同じ成分でメーカーの違うジェネリック医薬品を手にすることになる、というのはよくあることです。
メーカーが違うと、包装の色がかわったり、大きさが少し違っていたりしますので、A薬局からの薬とB薬局からの薬を別の薬だと勘違いしそうな方、混乱しそうな方の場合は、注意が必要です。
また、メーカーが違うと、味やにおいも異なることがあります。
「うちの子は、A社の薬は飲めるが、B社の薬はまずいといって飲めないので、A社の薬にしてください」と患者さんのお母さんにいわれることもあります。
また、今回例に出した薬に関してはジェネリックの値段はすべて同じですが、メーカーによって値段が違う薬もあります。
前回と違う薬局に行って、「値段が違う、見た目が違う」など、戸惑うことがありましたら、できればその場で、あるいは後から電話でもいいので、薬剤師に質問してくださいね。
外用薬は使い心地がことなります
のみ薬の場合、基本的に先発品とジェネリックでの効き目はかわりませんが、外用薬では少し事情が変わってきます。
シップや塗り薬の場合、そこに含まれる成分は同じでも基剤が違うため、使い心地が変わることも多いです。
シップの場合は「ジェネリックにしたら剥がれやすい」と言われる方、「ジェネリックのほうがかぶれにくかった」と言われる方など、どちらがいいかは好みでもあります。
塗り薬の場合は、基剤が違うことにより効果に差があるという報告のある薬もあります。この点については、次回の記事「ジェネリックに変更しないほうがいいケース」で触れたいと思います。
ジェネリックに抵抗がある場合(お試しもできます)
「ジェネリックは先発品と同じ効果で、何も悪いものではないのはよく分かっているのよ。分かっているけど、どうしてもジェネリックは不安なんです」と言われる方もいらっしゃいます。
そういう場合は、薬剤師にその旨を伝えて、先発品をもらうようにしたほうがいいと思います。
人間、理屈だけでは納得できないことがあります。感情的に受け入れられない場合は、無理をしないほうがいいでしょう。
副作用がおこるのではないか、と思いながら服用すると、本当に副作用の症状がでてしまったりするのが人のからだです。
納得できずに服用すると、十分な効果を期待できなくなるかもしれません。ぜひ、医師、薬剤師と相談の上、自分にとって一番良い治療を受けていただきたいと思います。
また、ジェネリックは「おためし」ができます。
たとえば28日分のうちの7日分だけをジェネリックでもらって、試してみてから、残りの日数分をジェネリックにするか、先発品にするか選ぶことができます。
ただしこの場合、お薬代が少し割高になることと、再度薬局に薬をとりにいかなければならないというデメリットはあります。そして、2回目の来局が指定された日より遅れてしまうと、処方せんに書かれた日数分の薬がもらえなくなりますので注意が必要です。
「おためし」してみようと思われるときは、処方せんを提出するときにその旨を伝えてくださいね。
ここでもお薬手帳を活用してください (←コレ大事)
いつもの薬局以外の薬局に行っても、お薬手帳があると、患者さんが前回どのメーカーのジェネリックをもらわれていたのか分かるので、薬剤師の説明がスムーズになります。もしも重複があった場合(メーカー違いの同じ薬など)、すぐに見つけてもらえます。
そして最後になりましたが、先発品をジェネリックに変更したときは、次回の診察時に、医師に「この薬に変更しました」とお薬手帳を見せておくことをお勧めします。
場合によっては医師の判断で、「やはり今回からは先発品で」といわれる可能性も無きにしもあらずだからです。