日々の所感

【コトバのちから】

 

 

先日、久しぶりにレストラン店内でランチをしました。

ここ一年のコロナ禍で、ほとんどテイクアウトにしているのですが、やっぱり出来立てが美味しいですね(^^♪

 

そこでは、若い女性の店員さんがほとんど一人でテキパキと料理を運んでいました。

大学生のアルバイトかな?と思って彼女を見ていたら、昔、「言葉はスゴイ」と実感した出来事をふと思い出しました。

 

 

30数年前、大学に入って同じクラスの友達もでき、生活も落ち着いてきたところで、そろそろやってみたいと思ったのがアルバイト。

塾講師や家庭教師、ケーキ屋の店員などのアルバイトをしている友人たちを見て、なんだか面白そうだ、と思いました。
自分でお金を稼ぐということに対する魅力と興味もありました。

 

人気のあるアルバイトは何といっても効率よく稼げる家庭教師ですが、私はよく知らない人のお宅にお邪魔するのがどうにも抵抗があって、やったことがないです。

 

それよりも、一度やってみたいと思ったのが、「スーパーのレジ打ち」と「ウエイトレス」。大学の実習などがあるので、できるのは春休みの2か月限定でしたが、アルバイトの面接に応募しました。

 

いま思うと、「仕事」を完全にナメてました・・・。レジもウエイトレスも、簡単なものだと思ってたんです(^^ゞ

 

レジ打ちは、大学の近くのスーパーに面接に行きましたが、レジは経験者でないと無理、ということで即、不採用。

 

喫茶店の方は、本当は長期できる経験者が欲しかったらしいですが、とりあえず早急に人手が必要、ということで採用してもらえました。

 

さて、制服のワンピースをきてウキウキと働き始めたワタシ♪
メニューの数がそれほど多くないお店だったので、注文を覚えるのは問題なし。

 

しかし・・・、お盆の上でグラスが滑る! とくに背の高いグラスが怖いんです。
テーブル同士の間隔が狭く、すこし前かがみで奥のお客様に飲み物をお出しすると、お盆の上のコーヒーフロートがつつーっと・・・(゚Д゚;)
サラリーマンの方のスーツにかかってしまい、店長がすっ飛んできたこともあります。

 

最初はそれほど重いと思わなかった左手のお盆の上の食器ですが、1日運ぶと左腕がパンパンになり、左肩はまるで五十肩のように上がらなくなりました。

立ちっぱなしのため、足がむくみ、棒になる、というのも初めて経験しました。

帰宅したら、左腕と足の痛みで食事どころではなく、もう寝るしかない・・・寝ても痛い・・・。

 

実際やってみるまでは、食器を運ぶことも、立ちっぱなしでいることも、私は全然大丈夫と思ってました。まさか喫茶店の店員さんが、こんなにハードだなんて思ってもいませんでした。

 

失敗に落ち込みもしましたが、初めてのアルバイトで見聞きするものに対する楽しさと、店長やバイトの先輩たちのフォローのおかげで、予定通り2か月弱の間、無事そこで働くことができました。

 

 

ある日の夕方、ちょうど疲れがピークに達した頃。足は痛いわ肩もうずくわ。忙しいならまだ気が紛れるのですが、お客さんが少ない時間で何もすることがなく手持ち無沙汰でいたら、先輩に「じっと立ってるとキツイから、お店の中を何周か歩いたらいいよ。お客さんのお水をとりかえたり、灰皿を取り換えて来て」といわれました。

 

言われた通り、お水のグラスを取り換えて回っていたら、30歳くらいの女性二人連れのテーブルで、一人が私を見て軽く微笑みながら「ありがとう」と言ってくれたのです。

この方は、いつもこういう風に言われるんだろうな、という、ごく自然な言い方でした。

 

その後、グラスと灰皿を交換し終えた私は、またいつもの場所に立ちました。

でも、そのとき不思議なことに、随分と身体が軽くなっているのを感じました。

足も、肩も痛くありません。

あれ???

 

お店の中を何周か歩いたから? いや、そうではありません。

あの何気ない「ありがとう」が、一瞬にして私の苦痛を吹き飛ばしたのです。

 

 

個人的な経験のなかで考えてみると、疲れや痛み、食欲は、かなり気分によって左右されます。

人から見たら、「仮病だろう」と思うような場合でも、決して仮病ではないことも多いのではないかと思うのです。

行きたくない、と思ったら熱が出たり足が痛くなったり、お腹が痛くなったりするとか、怒りや不安があると、頭痛やめまいが悪化するということを、実際に、自分自身が経験したことがあります。

若いとき、先輩に仕事上の間違いを指摘され、ランチがのどを通らなくなった私を見て、先輩が慌てていたこともありましたっけ(^^;

 

薬剤師になってからは、抗がん剤の副作用でひどい倦怠感が続いて、とてもきつそうにしている患者さん(男性)が来られたとき、何気なく「このまえより、お顔の色がいいですね」と言ったらみるみる顔色が明るくなり、ニコニコして色々とお話をされ、薬局に入ってきた時とは別人のように元気な様子で帰って行かれるのを見て、びっくりしたことがあります。(ちなみに、「このまえより顔色がいい」というのはウソではなく、本当のことです。)

 

日本の言霊信仰というのは、「言葉を口に出すとそれが現実になるという、言葉の不思議な力に対する信仰」だそうですが、個々人のこのような体験により、より信憑性を増したのではないかと思います。

 

私は、言葉ほど即効性のある強力な薬はないと思っています。毒としても、最強の部類に入れてもいいのではないでしょうか。
まあ、私が特に単純だということもありますけれども(^^;

 

ただ、言葉は人によって受け取り方に差があり、同じことを言っても反発を感じる人もいます。

だからできるだけ相手をよく観察し、相手に合わせて、ポジティブな声掛けができたらと思います。

 

普段の生活のなかで、自分の状態が悪いときはなかなか気が回りませんが、心身に余裕があるときは、できるだけ人の心が軽くなる言葉をかけるようにしたいです。

 

アルバイト中の私のような体験をしていただけたらいいな~と思ってます
(⋈◍>◡<◍)。✧♡

 

 

 

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